Teploobmen’s diary

興味のあること、調べたことなど、雑多にまとめていきます。調べている内容の途中経過を書くこともあります。

アメリカのイノベーション政策

前回の続きを書こうとしたのだがJ-Platpatのサーバーが落ちていた*1ので気分を変えてアメリカのイノベーション政策について、概要とオバマ政権までの政策に関して、主要な経緯をまとめていきたい。

↓過去記事

 

teploobmen.hatenablog.com

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 1.ヤングレポート

 アメリカのイノベーション政策は、レーガン政権時代に提出されたあるレポートから始まったとされている。

 レーガン政権当時、アメリカは経済復興を遂げた日本、ドイツからの輸入品に国内産業の競争力が削がれ、深刻な貿易赤字に悩まされていた。ちょうど「ジャパン・バッシング」が起こっていた時期だ。

 そんな時期、レーガン政権の諮問機関として、「大統領産業競争力委員会」を組織し、対策案を提言する。正式な題名は「グローバル競争-新しい現実*2」だが、座長*3の名をとって、「ヤングレポート」と呼ばれている。その序文については以前記した通りだ。内容としては、日本、ドイツに打ち勝つにはどうすればよいか?といった課題について、対策を提案している。

 しかし、これらの政策は、政府の産業への介入を嫌う共和党政権ではほとんど実行されなかった。だが、委員会は民間組織として改変し、その後も提言と政策分析を続けた。これらの骨子が実現されたのは、クリントン政権だったようだ。

 

2.パルミサーノレポート

 21世紀に入り、ブッシュ政権になると、産業競争力評議会は副題に「イノベーョンか、衰退か」と冠した報告書である「イノベートアメリカ」*4を提出する。このレポートも、議長*5の名をとって「パルミサーノレポート」と名付けられた。

 このレポートでは、ヤングレポート以降提案されてきた人材の重要性や、金融支援だけでなく、イノベーションを起こしやすい環境を「イノベーションエコシステム」と名付け、これの整備が必要だと提言している。

 

3.オーガスティンレポート

 パルミサーノレポートは、競争力強化について、議員たちの議論を活発化させた。両院の民主党共和党の科学政策議員らはナショナルアカデミーズに対し、政策と戦略について検討するよう依頼した。そして作成されたものが、「強まる嵐を超えて*6」というレポートである。*7議長は元ロッキード社会長のノーマン・オーガスティン氏が務めたため、「オーガスティンレポート」とも呼ばれる。

  この報告書は、具体的な提案として、

  1. 理工系人材の育成
  2. 基礎研究の充実
  3. インフラ整備

などを提言した。このレポートを受けて、当初は科学技術政策に乗る気でなかったブッシュ大統領も重い腰をあげた。

 

4.J.W.ブッシュ政権

 ブッシュ政権は「米国競争力イニシアチブ」を策定し、基礎研究予算の増額や、研究開発への減税を恒久化することを提案した。これの内容を強化し、「米国競争力法*8」が制定された。これにより、上記3つのレポートで提案された内容の実現や、エネルギー高騰研究計画局の設立などが行われた。

 

 

5.オバマ政権

 リーマンショック後、民主党政権となり、大統領はオバマ氏が務めるが、基本的な方針は変えず、むしろ強化していった。

5.1.競争力強化法の延長を認める再授権法案

 まず、ブッシュ政権で成立した米国競争力法は、2010年で期限切れを迎えるたため、法律の期限を延長した。これが「競争力強化法の延長を認める再授権法案*9」だ。これにより、基礎研究予算の増額などは続けられることとなった。

 

5.2.「科学技術イノベーション政策」の表明

 また、オバマ政権は「科学技術イノベーション政策」を2008年9月に表明し、その後改訂し、2011年、2015年に"A Strategy for American Innovation*10"なる戦略を公表している。目的は「質の高い雇用と、持続的な成長」だった。

 オバマ大統領は、特に

  1. K-12クラス*11 への科学、技術、工学、数学を統合したSTEM*12

などが協調されている。

 STEM教育については、今後書いていきたいと思うが、グリーンイノベーションシェールガスシェールオイルの台頭によって頓挫してしまったようだ。

 

www.nikkei.com

 

6.まとめと今後の課題

 アメリカのイノベーション政策の大きな流れは以上だ。ただ、現状トランプ政権での政策には突っ込めていない。

 今後は個別事案に突っ込んでいくとともに、現状の政策についても調べていきたい。

 

7.参考文献

イノベートアメリカの 読み解き方

「アメリカの科学技術情勢」

主要国の科学技術イノベーション政策動向

イノベーションと科学技術

*1:対応に追われている皆さまお疲れ様です

*2:Global Competition-The New Reality, Council of Competitiveness

*3:当時HPのCEOだったJ.ヤング氏

*4:Innovate America

*5:当時のIBM会長パルミサーノ氏

*6:Rising Above the Gathering Storm

*7:参考文献:科学技術・イノベーション動向報告 米国編

*8:The America COMPETES Act

*9:American Reauthorization Act of 2010

*10:2011年版2015年版

*11:日本の小~中学生に該当

*12:Science、Technology,Engeenering,Mathematicsの頭文字)教育の強化

  • グリーンニューディール((エネルギーの多くを再生可能エネルギーによって賄う