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Teploobmen’s diary

興味のあること、調べたことなど、雑多にまとめていきます。調べている内容の途中経過を書くこともあります。

商標「マリオカート」の動乱―消されていく権利範囲

 さて、ようやくJ-platpatが治ってしばらくたつが、前に書いた記事で触れた気になる点について書いていきたい。

  任天堂保有する商標「マリオカート」は、森湧太なる人物によって次々に権利範囲が狭められている。この状況について、商標の制度を軽く説明しながら追っていく。

 なお、マリカー社との関係性は見いだせなかった。

 

 

1.商標の仕組み

1.1.「標章」と「役務」

 まず、商標の権利範囲について確認しよう。一般に、「商標権」の権利が及ぶ範囲は

1.登録されている商標そのものの見た目、語感などが同一又は類似であって、

2.商標の指定商品または指定役務が同一または類似

のものだ。

 

 「指定商品」「指定役務」とは、「この商標はこういった用途に使います」という分類のことだ。大きく分けて45種類あり、そこから細かく分かれている。

 

1.2.不使用商標の取消

 さて、商標は基本的に金さえ払えば永久に存続する。しかし、いくら料金を納めているからといって、使っていない商標まで保護しては後から参入した者は非常に不利な立場を強いられることとなる。こういった事態を防ぐため、商標では3年以上使っていない商標を取り消すことができる制度が存在する。この制度は、あらゆる人が請求することができる。(もちろん、手数料を支払えばの話だが)

第五十条  継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標(略)の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。

商標法第五十条

 

2.消されていく役務

 任天堂が所有する商標「マリオカート」は、いくつか存在するが、その中で二つの商標*1は他に比べて権利の範囲が大きめに申請されている*2。ところが、一昨年の暮れあたりから、商標「マリオカート」の権利範囲の一部に多数の取消審判が請求され、一部は確定している。つまり、マリオカート」の権利範囲は次々に狭められている。

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具体的には、次のような項目が削除されている*3

第12類 自動車並びにその部品及び附属品、乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカーなど

第41類 娯楽施設の提供、小型自動車競走の企画・運営又は開催など

 これらは、いずれも自然人*4森 湧太なる人物によって請求されている。少し調べてみたが、有用な情報はなかった。

 

3.マリカー事件との関係は?

 さて、これがマリカー事件と関係するか確認してみたが、直接的には関係しない。

 というのも、商標「マリカー」の役務は第35類が中心だ。類似群コードも調べたが、第12類を除いて同一又は類似な役務は存在しない。逆を言えば、第12類の一部が削除されていなければ商標「マリカー」は拒絶理由*5通知がなされていたかもしれないが。

 ただ、請求を行った森氏はなぜ取消審判を請求したのだろうか?森氏は計17件もの不使用取消審判を請求しているが、弁理士に依頼しなくても1件当たり最低55,000円の費用がかかるため、実に935,000円もの手数料を支払っている

 単なる一個人が、これほどの大金をかけてボランティア精神(?)のために不使用取消審判を請求するだろうか?正直不自然だ。

 なお、森氏がマリカー社の関係者ではないかと考えたが、マリカー社は代表などをHP上で公開していないため、確認できなかった。

 というよりも、この不使用取消審判は自分が登録したい商標の拒絶理由をなくす為にも用いられることも多い。

 直接的な証拠はないが、少し関係性が匂う・・・といったところだ。

 

 

商標実務入門―ブランド戦略から権利行使まで

商標実務入門―ブランド戦略から権利行使まで

 

 

※過去記事

 

teploobmen.hatenablog.com

 

teploobmen.hatenablog.com

 

*1:商標第4340262号、商標第5156824号

*2:つまり、多くの指定商品、指定役務が登録されている

*3:基本的に第~類という番号が一致しなければ役務は同一ではない

*4:法人ではない人のこと。要するに普通の人間

*5:「これはこういう理由で商標登録できません」と書かれた書面。ここにかかれた理由が解消されなければ商標登録はなされない。