Teploobmen’s diary

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FRB、MBSを売却する方針―短期的な影響と長期的な影響

 アメリカ時間4月5日(日本時間4月6日未明)に発表された、FRB議事録要旨では、FRB保有する資産圧縮について言及された。その結果、円が買われることとなった。

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 今後、アメリカの政策を見ていくうえで金利は最も重要な要素の一つとなることだろう。そこで今回は、FRBの資産圧縮がもたらす短期的な影響と、長期的な影響を分析していく。

 

 

1.FRBの資産とは?

 そもそもFRBはどのような資産をなぜ保有しているのだろうか?、FRBは金融緩和(QE)を行っていた。QEの買取資産としては、主に次の二つの資産が選ばれた。

 特にこのMBSは、2007年から始まった世界金融危機の原因にもなったものだが。

 これらを大量に購入した結果、FRBの資産は急速に拡大することとなった。

https://fred.stlouisfed.org/graph/fredgraph.png?g=dizf

 この大規模な資産購入は、2014年10月末に終了し、以降は期限の過ぎた資産を再投資する形で資産を維持した。

 

www.nikkei.com

 2015年末からは利上げ姿勢に転じ、2016年末、そして2017年3月15日に利上げを行っている。

www.asahi.com

 そして、このFRBの議事録で保有資産の売却について言及があったため、市場が動揺したというわけだ。

 

2.FRB資産圧縮の影響は?

2.1.短期的な影響

 さて、ではなぜ円が買われたのだろう?日経新聞では、次のように述べられている。

市場では「バランスシート縮小が始まると、FRBが利上げをいったん停止する可能性がある」との見方が台頭。米金利が急低下し、日米の金利差が縮小して円が買われた。

NY円、小幅続伸 1ドル=110円65~75銭、FOMC議事要旨後に円買い (写真=ロイター) :日本経済新聞

 ではなぜ金利が急低下(債券価格が急上昇)したのだろうか?それは、市場が前回のFOMCで年3回の利上げを4回以上にするのではないかという憶測が広まっていたためだ。

  FRBは今年3回という標準の利上げシナリオを確実にするため、環境が良いうちに、まずは1回すませておこうというつもりなのか。年4回も視野に本格的な引き締め路線を進める構えに変わったのか。市場の見方は分かれる。

米利上げ、市場の関心は回数に 14日からFOMC :日本経済新聞

 

そもそも、今年3回という利上げ回数は「市場に優しい」として債券買いの材料になった経緯がある。さらに先行きの利上げの休止まで意識されたことで、債券相場の上昇(長期金利の低下)に弾みがついたわけだ。そもそも、今年3回という利上げ回数は「市場に優しい」として債券買いの材料になった経緯がある。さらに先行きの利上げの休止まで意識されたことで、債券相場の上昇(長期金利の低下)に弾みがついたわけだ。

(ウォール街ラウンドアップ)資産縮小、FRBはタカ? ハト? :日本経済新聞

 つまり、今回のFOMCで今年の利上げは年3回とほぼ決定づけられたため、米国債が買われることとなり、結果的に円高となったわけだ。

 ただ、 短期的な影響については現時点でもう終わっているだろう。今後は、以下に記す朝敵的な影響の方が意識されると考えられる。

 

2.2.長期的な影響

2.2.1.住宅市場への影響

  さて、ではFRBMBS米国債を買わなくなることでどこに影響が及ぶだろうか?最も影響が大きいのは住宅市場であろう。

連邦準備理事会(FRB)は現在、米国政府支援の住宅ローン債務に対する最大の需要元であり、市場の3分の1を所有しているため、住宅購入費用は上昇する可能性が高い。

(中略)

住宅ローン金利の急騰は、すでに住宅需要の減少につながっている。全米不動産協会のデータによれば、年間需要は過去10年間で最も高水準だったにも拘わらず、住宅の売上高は減少した。

Everyone Is Suddenly Worried About This U.S. Mortgage-Bond Whale - Bloomberg

 つまり、FRBが進めている短期金利を上昇でさえ不動産市場に影響しているが、MBSの買い手が少なくなることによる保証料の値上がりという要素が加わることとなる。恐らく、米国債金利上昇も住宅購入費用の上昇に影響することだろう。当然、REIT市場にはマイナスに働くことだろう。

 

2.2.2.為替相場への影響

 為替は、短期的には円高に振れたが、米国債金利上昇は日本の銀行にとってはプラスに働くことだろう。仮に、日本の銀行が米国債の購入高を増やせば、円が売られ円安に振れるかもしれない。ただ、最近はリスク回避を志向させるようなイベントが多いため、それらがこの円安要因を打ち消してしまうかもしれない。

 

2.2.2.ETFへの影響

 ちなみに、意外な影響があるのがETFだ。多くの米国債ETFは、米国債MBSを購入している。

 例えば、バンガード社の米国トータル債券市場ETF(BND)のアニュアルレポートを見てみると、両方とも保有している。

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 このETFは、Barclays Capital U.S. Aggregate Bond Indexという指数をベンチマークにしているため、同じベンチマークを採用していれば同様に米国債MBS保有しているだろう。

 このようなETFにとって、米国債が下落すれば利回りが上昇するので、値上がりが見込める。ただ、債券を買うために株が売られるが、利上げ局面ではよくあることだ。

(2017/6/19追記)

 と思っていたが、現時点では思いの外債券利回りが高くならない。Fedwatchを見ると市場は今年度の利上げはもう無いと見ているようだ。

 

teploobmen.hatenablog.com

 

 

3.政権への影響

 米国債が売られることで、金利が上昇するという点については触れた。しかし、これはトランプ政権にとって2つの影響をもたらす。

 1つ目は為替だ。前述した通り、米国債金利が上昇すればドルが買われる。

 2つ目は、財政政策への影響だ。トランプ氏は、大胆な財政政策を行うとしており、しかし、買い手がつかない状態で大量の米国債を発行すれば、さらに金利が上昇してしまう。

 米国債の発行残高は過去最高だが、金融大学によればこれはQEのために行われた。この情報が正しいとすれば、Freedom Caucusらが米国債務の削減を要求する口実にもなると考えられる

source: tradingeconomics.com

 また、いずれも金利上昇という結果をもたらすが、これはドル高を招く。しかし、トランプ氏はドル高を懸念しており、ドル高抑制策をとるかもしれない。ドル高抑制策とは、次の2つである。

  • 米国債を減らす(=大胆な財政出動をあきらめる)
  • 他国に利上げを迫る(=金融緩和をやめさせる)

 いずれも、日本からすれば実行されれば円高となり、都合の悪い政策だ。

 いずれにせよ経済的な主導権はアメリカにある、といったところだろうか。さて、日本は、そして世界はどう動くだろうか?今後も注視していきたい。

(過去記事)

 

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