Teploobmen’s diary

興味のあること、調べたことなど、雑多にまとめていきます。調べている内容の途中経過を書くこともあります。

再び政権交代が起きたら株価はどうなる?―ヘッジファンドは笑い、庶民は泣く

注)深夜テンションで書き上げた駄文です

 

 

 最近こそ下火になったが、森友学園の問題が長引いたことで、盤石と思われた安倍政権も少しきな臭さが増してきている。現在の世論調査を見れば、まだ安倍政権の支持率に余裕はあり、かつ仮に安倍首相が辞任したとしても自民党政権が続くことは現状間違いないだろう。

 しかし、常に「想定外」が起こりうるということは昨年のBrexit、アメリカ大統領選を通して身に染みているはずだ。

 そこで、ここでは「想定外の事態」つまり野党第一党である民進党が政権を取った際に考えられる日本のシナリオについて、マーケットに影響の大きい金融政策、財政政策、年金政策について分析していきたいと思う。

 なお、本記事を閲覧するにあたって、私はどちらかといえば現在の自民党政権の政策を良いと考えていおり、民進党を批判する側にバイアスがかかっている点を承知していただきたい*1。かなりの長文になっているが、大見出し1~4は民進党HPや幹部陣のインタビューの引用が多く、他の批判サイトなどでも取り上げられているものが多いため、読まなくても恐らく問題はない。また、結論に当たる大見出し5は短くまとめてある。

 駄文だが、最後までお付き合い願いたい。

 

 

1.民進党の金融政策

 これは、日銀が非常に関係する点だ。

 所謂「アベノミクス*2」の政策の一環として行われている、「金融緩和」「マイナス金利」について、ここでは考えていく。

1.1.マイナス金利について

 マイナス金利については、党HPに次のような記述がある。

特に、マイナス金利は、預金者にデメリットが大きいだけでなく、金融機能低下を招きかねない政策です。日本銀行に対し、デフレ脱却・為替の安定に努めつつも、マイナス金利は撤回させ、金融政策は現状を踏まえ、より柔軟に行うよう促します。

財務金融 - 民進党政策集2016 - 民進党

 また、海江田氏も自身の記事で次のように述べている。

マイナス金利の導入などは少子化高齢化の日本の中央銀行がとる政策ではないと思います。

【海江田万里】日銀の新たな金融緩和策について - 民進党 デモクラッツ・ドット・ジェーピー

 つまり、マイナス金利は撤回する公算が高いと考えられる。

 

1.2.「量的・質的金融緩和(QQE)」について

 また、同様に日銀の実施するQQEについても否定的な見解が見られる。

特に、マイナス金利は、預金者にデメリットが大きいだけでなく、金融機能低下を招きかねない政策です。日本銀行に対し、デフレ脱却・為替の安定に努めつつも、マイナス金利は撤回させ、金融政策は現状を踏まえ、より柔軟に行うよう促します。

財務金融 - 民進党政策集2016 - 民進党

 また、民進党財務副大臣の大久保氏は、Bloomberg紙のインタビューに対し、次のように述べている。

 民進党の大久保勉元財務副大臣は、日本銀行が異次元緩和の一環として行っている指数連動型上場投資信託ETF)を年間3兆円購入する政策を見直し、市場規模に対する保有割合も2-3割程度まで減らすべきだと主張する。

日銀のETF購入、「2、3割まで減らすべきだ」-民進党・大久保氏 - Bloomberg

 岡田氏も次のように述べている。

 民進党岡田克也代表は(中略)、日銀による上場投資信託ETF)購入などについて「株式市場がきちんと機能しなくなっている」と批判した。「経済の基本である市場の役割がゆがんでしまっている」とも語り、「長い目で見ると日本経済の活力をそいでいることは気になる」と続けた。

民進の岡田代表、日銀のETF購入を批判 「市場機能しない」と :日本経済新聞

 ちなみに、民進党を支持しているわけではないが、大久保氏の意見については私も賛成する。ただ、これは株価が上下することを好むトレーダーとしての意見だが。仮にこれらの政策が実施された場合の影響については後で述べるとしよう。

 

2.民進党の財政・税制政策

 次は、民進党の財政・税制政策を見ていきたい。大きく経済に響きそうなものは消費税だろうか。

社会保障の充実・安定化を図り、将来世代に借金を押しつけないため、10%への消費税引き上げを含めた「社会保障と税の一体改革」を推進することの重要性・必要性は変わりありません。

しかし、アベノミクスは失敗し、本来やるべき消費税引き上げを実行できる状況にはありません。ふつうの人の暮らしを立て直すため、以下の4点を前提として、引き上げを2019年4月まで2年延期します。

(中略)

消費税の逆進性対策は、最重要課題の一つであり、最も効果的な対策は給付付き税額控除です。格差是正効果に乏しく、事業者にコストばかりかかり、現場の混乱も避けられず、その上財源の手当てもない軽減税率導入を前提とした消費税引き上げは認められません。

  つまり、2019年には消費税増税を断行する、ともとれる。ただ、気になるのは消費の減退だが・・・その手の批判は他の記事でさんざんなされているのでここではあえて取り上げない。

 なお、よく「民進党が金融緩和に反対している」といった言説が見られるが、「マイナス金利の撤回」や、金融緩和に若干懐疑的な言説は見られるが「金融緩和を撤回する(あるいは金融緩和路線に反対する)」といった文言は見られない。(ただし、前述のように日銀によるETF買いへの批判は数多く存在する)

 日銀に対し、(中略)金融政策は現状を踏まえ、より柔軟に行うよう促します。また、緩和の前提であった「持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する」という政府・日本銀行の共同声明の内容は実質的に反故にされ、事実上の財政ファイナンスにより財政危機、金融危機のマグマは溜まり続ける一方です。

財務金融 - 民進党政策集2016 - 民進党

 

4.民進党の年金政策

  次に年金。マーケットへの影響を考えるうえで次の点は外せない。

 年金積立金の運用は被保険者の利益、確実性を考慮し、株式運用倍増をやめ、株への投資を減らし、堅実で最適の運用をめざします。公的年金の積立金は、労使をはじめとするステークホルダーが参画するガバナンス体制を構築します。

厚生労働 - 民進党政策集2016 - 民進党

 

9月に行われる民進党の代表選に出馬表明している蓮舫代表代行は(中略)GPIFは株式の運用比率を「25%に戻すべき*3」とし、「年金を安定運用することで、少しでも不安が解消されれば消費につながる」と語った。

インタビュー:アベノミクスは行き詰まり、年金運用は修正必要=民進党・蓮舫氏 | ロイター

 

昨年度*4の運用実績を資産ごとに見ると、国内債券ではプラスになったが、その他の3資産(外国債券、国内株式、外国株式)ではマイナスになっているため、国内債券の構成比の多い国共済のほうが、より堅実な運用結果となったことが分かる。

年金積立金5.3兆円損失の一方で、国家公務員共済はプラス運用 - 民進党

 つまり、株価と債券の比率が半々となっている現在のポートフォリオから、かつての債券中心の運用へ戻し、「堅実な」運用を志すということになる。さて、先ほどは消費税増税の影響については触れなかったが、これは少なくとも私が確認した限りでは、消費税と消費の減退について触れている箇所はない。あろうことか、民進党の幹部陣は消費減退の原因は年金の運用姿勢にあるとみているようだ。

 気がかりなのが、GPIFが運用する国民の年金資金である。すでに5兆円とも言われる損失が、今回の混乱で更に拡大する。これまでの含み益が消え去り、年金資金に穴を空ける危険性が高まっている。多くの国民は、この運用姿勢に大きな不安を抱いており、それが消費の減退を招いている

www.minshin.or.jp

 

「年金を安定運用することで、少しでも不安が解消されれば消費につながる」と語った。

インタビュー:アベノミクスは行き詰まり、年金運用は修正必要=民進党・蓮舫氏 | ロイター

 しかし、指数はウソをつかない。年金の運用姿勢の変更よりも消費税が消費に影響しているのは明らかだ。

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         (図は日銀消費活動指数)

 まあこの手の経済音痴はいつものことなのでここではあえて取り上げないでおこう(マーケットにもめちゃくちゃ影響するが)。

 

4.1.小括

  ここまでの民進党の政策をまとめると次のようになる。

  • マイナス金利には反対
  • 日銀のETF買いには反対
  • 消費税増税には賛成
  • 年金運用は国債中心で行われるべき

さて、消費税増税の影響が無視できる*5ものとして、民進党の経済政策を実行するとどうなるだろう?影響について考えていきたい。

 なお、影響の考察に当たっては事象の単純化と多少楽観的に見積もるため、日本株にのみ焦点を当てて検証を進める。また、多少楽観的に見積もるため*6外国資産の売却等による為替変動は無視する。

 

4.2.年金運用方針変更、日銀の質的緩和のの影響

  まず、マーケットに大きなインパクトを与えるのはこの点だろう。「安定運用」を志すということは、現行ポートフォリオ上で25%を占める日本株の割合を13%程度に減らすということを意味する。ところで、2016年度第三四半期現在、GPIFは時価総額で28兆円分の日本株保有しているが、仮に民進党の政策が実現されると、時価総額で14兆円分の日本株が売られ、株式市場に強力な売り圧力が働く。ヘッジファンドなど、売りからも入れる人たちににとっては非常に良い空売りの機会となることだろう。

 ただ、 ここで日銀がETFを買っていけば、ある程度下落幅は少なくすることができる。しかし、民進党は同時に日銀のETF買いをやめさせようとしている。

 以上のことから株価が自由落下することはほぼ間違いないだろう。では、誰がそんな日本株を買うのだろうか?「積立投資」を行っている個人、そして年金だろう。

 民進党が政権を握ったらまず日本株を売ろう。そしてできれば便乗して空売りまでしておくとベターだ。

 

4.3.年金は大丈夫か?

 なお、先程も掲載したが民進党はHPで次のように主張している。

 昨年度*7の運用実績を資産ごとに見ると、国内債券ではプラスになったが、その他の3資産(外国債券、国内株式、外国株式)ではマイナスになっているため、国内債券の構成比の多い国共済のほうが、より堅実な運用結果となったことが分かる。

年金積立金5.3兆円損失の一方で、国家公務員共済はプラス運用 - 民進党

 上記の意見を勘案すると、ほかの日本株、外国株、外国債権が値下がりしても、国債の比率を高めれば、影響は少なくなると考えているかもしれない。しかし、上記の意見には決定的なミスがあることを忘れてはいけない。

 まず、当該記事における「昨年度」とは2015年度(平成27年度)のことを指すが、GPIFの平成27年度運用報告書を見ると、債権のパフォーマンス次のようになっている。

 

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 ・・・どうして第4四半期だけ国債のパフォーマンスが大幅に上がっているのだろう?ここで、参考に10年債先物の週足チャートを見てみよう。

 

https://invst.ly/3pxud

 

 見ると、ちょうど第4四半期にあたる2016年1月25日の週に急上昇していることがわかる。では日足を見てみよう。

 

https://invst.ly/3pyqb

 

 このチャートから、日本国債の急騰は2016年1月29日から始まっていることがわかる。この日に何があっただろうか?そう、マイナス金利の導入が決定した日だ。

 

www.nikkei.com

 

 つまり、マイナス金利が導入されたため国債が急騰し、結果として国債のパフォーマンスが上がった、というわけだ。では、民進党の公約通りマイナス金利政策を撤回したらどうなるだろうか?国債が値下がりすることになる。

 また、金利の上昇により、日米の金利差が縮小する。この日米金利差は、ドル円の価格と相関するため円高方向へ進むと考えられる。

 ただし、日本銀行によれば日本の家計金融資産のうち、預金の割合は50%超であるため、銀行による買い支えによって緩和されるかもしれない。

 円高日本株の値下がり要因となるだけでなく、外国資産の価値を下げる。さて、ここまでの考察をまとめるとどうなるだろうか?

 

5.まとめ

 まとめると、民進党の公約を実現すると、マーケットには次のような影響が起こる。

 

 というわけで、年金ポートフォリオは全滅となった。損失は5兆円で済むのだろうか・・・計算してみたいがここではやめておこう。「5兆円の損失は『消えた年金』ではなく、安倍総理が『消した年金』だ」とか言ってるけど民進党の政策が実現される方がもっと大量の年金が消える。結局売りが使えるヘッジファンド等々は笑い、庶民(())は損をする、というわけだ。これならアベノミクスのほうがまだましだ。

 

 もっと言えば今回はマーケットの話に留めたが、円高は雇用環境の悪化などを通して民進党が大好きな実体経済にも影響する。株価は先行指標だ。お忘れなきよう。

 

 このような状態から回復するには金融緩和や財政出動が必要となるが民進党はその決断ができるだろうか?こればかりはそのときになってみないと分からないが。このような事態を回避できるのが一番なんだが・・・というか金融緩和や財政出動をしないと株価も債権の価格も戻らないから年金資産がガンガン減って(ry

 

 安倍政権の経済政策に問題点が無いわけでは無い。が、民進党の経済政策はそれを上回ってひどすぎる。果たして民進党政権はここまで影響を想定して政策を組み立てているのだろうか?YesでもNoでも問題があるなこれ・・・

*1:まあ景気が良くなるならどの政党でも良いとも思っているが

*2:最近聞かなくなったな・・・

*3:注:これは外国株と日本株を合計した比率

*4:2015年度

*5:この時点で明らかに現実的ではないがあくまでフィクションなのでお許し願いたい

*6:外国資産を大量に売却することにより円高が発生し、日本株に多大な影響を与えるだろうが、為替ヘッジによる影響の中和なども考慮しなければならないため、あまりに事象が複雑化してしまう

*7:2015年度