Teploobmen’s diary

興味のあること、調べたことなど、雑多にまとめていきます。調べている内容の途中経過を書くこともあります。

基礎研究を重要視すべきだ―ヤングレポートを読む

 三連休なので、気分を変えてアメリカのイノベーション政策について追っていきたい。今回は、「ヤングレポート」のなかの、概要と第一項目の「技術」に関してまとめていく。

↓過去記事

 

teploobmen.hatenablog.com

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1.概要

  さて、上記の記事でも記した通り、「ヤングレポート」とは、所謂「ジャパンバッシング」が行われていた当時のアメリカで、産官学の有識者らによってまとめられた報告書だ。ここを起点に、アメリカのイノベーション政策が始まったともされている。

 本レポートの主張は大きく分けて4つだ。

  1. 技術の創出、応用、保護
  2. ビジネスに必要なコスト削減、それによる投資資本の増加
  3. 高度な技術を持ち、柔軟かつ動機づけられた人的資本
  4. 貿易をアメリカ優先としつつ、アメリカが主導する世界貿易システムの強化

 なんか4番目はトランプさんが最近主張している内容と似てるような・・・

(参考:トランプ政権「主権侵害の場合はWTOに従わず」 同時に中国、韓国、メキシコ等を不公正貿易で批判 - ゼロからやりなおす「政治と経済」)

 そのあたりの話は調べていくうちに見えてくるだろう。とりあえず、今回は一番目の「技術」について内容を見ていこう。

 

2.内容

2.1.技術

 本レポートの中で、技術はアメリカの最大の長所と位置づけている。ただし、以下の弱みを抱えており、それらを解決すべきだとしている

 

1.基礎研究を疎かにしていたこと

 本レポートの中で、基礎研究の重要性について触れられている。その一部を引用しよう。

産業の競争力優位をもたらす可能性がある基礎研究には、ドイツや日本よりも相対的に予算が投じられていません。

(中略)

この国で実施されている研究開発のうち、半分は連邦政府による資金提供を受けています。しかし、その大半は防衛・宇宙分野のために使われています。また、委員会はこれらの研究開発が民間転用される可能性はせいぜい偶然程度です。

 また、同時に民間の研究開発を省令すべきとしている。

民間の研究開発を奨励することは、政府の適当な目標です。

 

2.技術の応用

 また、技術の発明は行っていたものの、技術の産業利用*1が不十分であったと指摘されている。

 ロボット工学と統計的品質管理は両方とも米国で初めて開発されました。しかし、―華麗にも―産業利用したのは日本でした。

 

3.小括

 これらをうけて、委員会は次のように小括している。

競争戦略の最初の2つのステップは、テクノロジーの創造と応用です。イノベーションの成果は、偽造などの不正使用から保護されなければなりません。この点で、特許法の見直しと改革、アメリカの企業が国へ提供する科学技術情報の保護を強化し、貿易相手国―特に、新興国には―よりいっそうの保護を要求する必要がある。

 この報告書を受けて、アメリカは知的財産保護を強化するプロパテント政策に舵を切っている

kotobank.jp

 具体的には、知的財産保護が整っていない国への制裁措置などが定められているようだ。ただ、比較的新しい論文では逆に知的財産保護を緩めるアンチプロパテントが始まっているとされている。話がそれそうなのでこれについては別にまとめよう。

 

3.まとめと感想

 基礎研究の重要性や、特許による保護のあり方など、国の弱点や産業競争力の低下の原因を真摯に受け止めたレポートは日本では見たことがない。さすがは世界一の大国、アメリカと言ったところだろうか。

 振り返って日本を見てみると大学の予算は次々に削減され、基礎研究ではなく競争的資金の予算ばかりが拡充されている。ここはアメリカを見習って基礎研究に莫大な予算を投じてみてはどうだろうか。

mainichi.jp

*1:原文ではmanufactuaring applicationsだが、以下の文章の流れから「産業利用」と約しておいた